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数字を見るときには、「率」と「額」の両方を意識して見る必要がある。
例えば、売上の前年比を見ていても、この数年、売上は低下傾向(前年割れ)が続いている。
しかしながら、今年に入ってからは、前年比で100%を超える月が出てきている。前年比の報告が毎月100%を超えくると業績が伸びているようなような錯覚に陥る。ここに、比率を使った時の注意点がある。
たとえば、
2008年 1000
2009年 900 前年比 90%
2010年 800 前年比 88.9%
2011年 820 前年比 102.5%
前年比を見ると102.5%だと、かなり売上が伸びているように見えるが、金額ベースで見ると、まだまだ回復途上である事がわかる。前年比も大切であるが、金額ベースでの比較も忘れてはいけない。
同様に、ROE、ROI、IRRといった利回りを表す経営数値がある。これらも、利回りがいくら高くても金額が小さければ、意味をなさない。
たとえば、
ROE 25% と ROE 5% という数字を見ると、当然ROE25%の会社の方が効率が良く見える。
しかしながら、金額ベースで見るとどうだろう。
株主資本 100万円 10億円
当期利益 20万円 0.5億円
ROE 20% 5%
ROE20%の案件(会社)は、資本効率はいいかもしれないが、金額ベースでインパクトがあまりにも違いすぎることがわかる。率だけでは、効率性はわかっても重要度が見えにくくなる。
これは、他の指標においても同様の事が言えるので、数字を見るときは、「率」と「額」、両面で数字を捉えるように心がけたい。
資本コストについては、過去に数回にわたって解説してきました。
今回は、実際の実務でどのように使うのかについて書きたいと思います。
まず、最初に資本コストは、何%に設定したら良いのか?
これについては、WACC(加重平均資本コスト)を使います。
WACCは、株主資本コストと負債資本コストを加重平均して求めます。
<例題>
株主資本の額 300 株主コスト 6% 借入金 200 金利2%
教科書には難しい式が出てきますが、以下の計算式で大丈夫です。
(株主コスト+支払利息(税引後))÷(株主資本+借入金)
=(300×6%+200×2%×(1-税率40%))÷(300+200)
=(18+2.4)÷500
=4%
株主資本は、BSにおける純資産額(資本の部)の数字になります。
つまり、WACCは、あなたの会社の現時点の株主資本と借入金の額を元に算出します。実務上は、直近決算期の数値を使用する場合が多いと思います。
ここで算定したWACCを使って、投資案件、事業の評価をしていくことになります。
さて、ここで一度整理しますと、
資本コストは、WACCを使います。つまり、資本コスト=WACCですね。DCFにおける割引率もWACCを使います。
また、EVAにおける投下資本コストにもWACCを使いますので、言葉が違えど、全て同じ事を言っている事がわかります。
前回にもお話ししたように、
株主コスト、株主の期待利回り、DCFにおける割引率、EVAにおける投下資本コストは、それぞれ、投資家から見たとき、企業側から見たときによって、コストという表現になったり、リターンという表現になったりしているだけで、全ては同じことを言っているのです。
このことを理解すれば、色々な解説書を読んだ時に、それぞれ表現が違ったり、考え方が違ったりして混乱した場合でも自分なりに整理できるようになると思います。投資家からの視点で書かれた本と、企業実務者の視点から
書かれた本とでは、表現が違ってくるのです。
最後に補足ですが、WACCを算定する際に、株主資本は、BSの簿価数字ではなく、時価総額を使うように解説
されている場合もあります。これについても、実務的に、どちらの方が、自分たちの実務に合うかを判断して使用したら良いと思います。
ファイナンスの勉強を進めると、このような事はよくありますが、あまり難しく考えずに、自分の考えに一番合うものを使うという程度で良いと思います。
前回、資本コストの説明をした際に、「残余利益」という言葉が出来てきました。
残余利益という言葉は、PLにもBSにも出てこないので、初めて聞いた方もいらっしゃるかと思います。
企業が、事業活動をする際の資金の調達先として株主(株式)、金融機関(借入金)があげられます。通常のPLでは、金融機関から調達したコストである支払利息は計上されているが、株主コストは計上されておりません。
残余利益は、通常のPLの当期利益から、株主コストを控除したものになります。
この残余利益の概念を理解しておくと、今後、ファイナンスの勉強をすすめるにあたり理解が深まります。
残余利益は、「EVA(Economic Value Added):経済的付加価値」と呼ばれるときもあります。
「EVA(Economic Value Added)」は、米国のスターンスチュワート社の登録商標となっておりますので、書籍によっては、「経済的付加価値」、「残余利益」と表現されております。
厳密には、EVAは、リース、研究開発費等については、独自に調整を加えて計算する部分もあるので、通常のBS、PLを使用しないという違いもありますが、債権者と株主に対する
資本
費用を控除した後の利益という意味においては同じものとなります。
残余利益という言葉は聞きなれない方もいらっしゃると思いますが、ROE(株主資本利益率)という指標はポピュラーなのでご存知の方が多いと思います。ROEは、比率(%)で表現されますが、残余利益は、額で表したものと考えても良いかと思います。
例題
株主資本 1000 当期利益 200 目標ROE 10%(株主コスト)
当期利益 200
株主コスト 100(1000×10%)
残余利益 100
目標ROE10%に対して、実績のROE20%。額にして100利益を余分に稼いだ。
という形になります。
経営分析、ファイナンスの世界では、同じようなものを、違う名称で呼び合うので混乱するときがありますが、この点についても、今後、気をつけながら解説していこうと思います。
前回、最適資本構成について書きましたが、その中で、資本コストという言葉が出てきました。
この資本コストという言葉が、ファイナンスの勉強をしていて、非常にわかりにくいという意見をいただきましたので、今日は、資本コストについて書いてみたいと思います。
資本コストとは、企業が事業を行う際に、調達した資本に対して支払うことが期待されるリターンを指します。
資本コストは、自己資本(株式)コストと他人資本(負債)コストの二つに区別できます。他人資本コストは、一般的には支払利息になります。
コストとリターンという表現もわかりにくい手と思いますが、調達(会社)側からみるとコスト。貸し手側から見るとリターンとなります。
資本コストについて、前回、最適資本構成で使った例でご説明します。
投資金額 1000万円 株主資本コスト 6% 支払金利 2%
<自己資金(50%)+借入金(50%)で調達>
売上高 1000
原価 500
経費 300
営業利益 200
支払利息 10(500万円×2%)
経常利益 190
法人税等 76(税率40%)
当期利益 114
株主コスト 30(500万円×6%)
残余利益 84
上記のケースを資本コストを使ってご説明しますと
資本コスト=(株主コスト+支払利息(税引後))÷投資(調達)金額
※例題にあわせて、わかりやすい形で表現しております。
なので
500×6%+500×2%×(1−税率40%)/1000
=30+6/1000
=3.6%
となります。
この資本コストを用いて、例題の投資案件を試算すると
売上高 1000
原価 500
経費 300
営業利益 200
法人税等 80(税率40%)
当期利益 120
資本コスト 36(1000×3.6%))
残余利益 84
となります。どうですか?結果が一致しましたね。
前回は、支払利息、株主コストの計算を個別にしましたが、今回は、資本コストだけで答えが出ました。つまり、資本コストとは、株主コストと支払利息の両方のコストを含んだものである事がわかります。
資本コストを使うメリットは、個別案件毎の資金調達方法を考慮しなくても良くなる事です。
例えば、今回の例に使用した投資案件でも、100%自己資金の場合と、100%借入金で調達した場合とでは、残余利益が変わります。(最適資本構成の記事を参照)また、自己資金と借入の調達割合が変われば、残余利益は変動します。
しかしながら、本来、投資案件の利回りは決まっており、資金調達方法によって利回りが変わるのはおかしな話です。
そこで、資本コストを使用することで、投資案件における資金調達方法は考慮せずに、全ての投資案件において、等しく資金調達に必要なコストをチャージする事で、投資案件毎の比較が出来るようになるのです。
ちなみに、ここ数回で出てきた残余利益という言葉は、なじみが薄い言葉だと思いますので、次回は残余利益について解説したいと思います。また、資本コストについて実務上の取り扱いについても解説したいと思います。
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